麻雀界のトッププロ多井隆晴「羽生善治先生みたいに1億円稼ぐ人が出てきてほしい」

 全国に2000人以上もいると言われるプロ麻雀の世界で、頂点に立つ男がいる。麻雀プロ団体RMUの代表も務める多井隆晴(45)だ。運の要素も勝敗を左右する麻雀にあって、2016年にはトッププロによる長期リーグ戦「RTDリーグ」と「麻雀日本シリーズ」の2冠を達成し、自他ともに認める最強プロになった。月の大半を麻雀番組の出演と対局で過ごし、休日もひたすら麻雀番組を見ながら研究する男は「いずれ(将棋の)羽生善治先生みたいに1億円稼ぐ人が出てほしい」と、大きな夢を語った。

 今年で麻雀プロ生活、約22年。アマチュア時代にプロ・アマ混合の大会で決勝に残ったことをきっかけに「麻雀で食っていこう」と、勤めていた証券会社を辞め、プロ入りした。「正直、あの頃は若気の至りでね。すぐに一番になれるんじゃないかと思っていました」と頭をかいた。06年に所属していた日本プロ麻雀連盟から独立し、自ら新団体RMUを立ち上げた。「とにかくみんなに愛される団体が作りたかったんです。ファンの方に、どんな試合が見たいか、プロにどうあってほしいかをひたすら聞きまくりましたね。当事、ミクシィも流行っていたから、それも使っていましたね」と振り返った。今ではTwitterがファンとの交流の場になっている。「そんな感じだから、今でもリプライがあると全部に返信するんです。ミクシィ当時からそうだったので。あと『多井』という話をしている人を見かけては、こちらから話しかけにいきました」と、ファンの声を聞くことに大量の時間を割いた。

 キャッチフレーズとして「最速最強」とうたっているだけに、麻雀の実力はファンだけでなく、周囲も認めるところだ。他団体のプロの1人も「多井さんの勝率は、確率論を超えたところにある」と驚がくしていた。ただ、当の本人は麻雀の技術について、あまり多くは語りたがらない。「麻雀プロは、ただ麻雀が強ければいいとは思っていないんです。麻雀の修行だけしていれば競技選手にはなれるけど、世間で認められるという意味では『プロ』ではないなと思うので」と持論を語った。また、麻雀の実力は「人間力です」ともいう。「麻雀は自分の視点、相手の視点、客観的な視点の3つ持たないと強くはなれない。相手の気持ちになれない、空気を読めない人は弱いんです。だから麻雀以外の勉強もたくさんしないといけないんですよ」と真剣な表情で答えた。

 より多くの人から注目を浴びる『プロ』として努力したのが、対局番組の解説などで必要とされるトーク力を磨くことだ。「お笑い芸人さんのDVDは全部見たというほど見ました。アナウンス学校のテキストなんかも勉強しましたし。麻雀番組って6時間とか8時間とか、とにかく長いので、解説が上手じゃないと、見ていて苦痛になっちゃうんですよね」と苦笑いした。今では自身が選手として対局しない日には番組で解説を頼まれ、それだけで日々のスケジュールが埋まっていく。「休みの日は1日ボーッと麻雀動画を見ています。見ないと時代に取り残される気がして。戦術とか解説とか、ひたすらチェックしています」と、とにかく麻雀漬けの日々を送っている。

 動画配信サービスやテレビ番組、昨年登場したAbemaTVの麻雀チャンネルなどの影響もあり、多井自身の認知度は麻雀業界以外でも、一気に高まった。一般的に中年男性ファンをイメージするところだが、近年は女性ファンも急増。バレンタインデーともなれば、団体の事務局に、チョコが段ボール単位で届く。人気スポーツ選手並みだ。「こんなことになろうとは、まったく想像もしていませんでしたよ。たまに麻雀店にゲストに呼ばれて行くと、女性の方が毎回4、5人いらっしゃるので」と、少し照れた。「街でも電車でも声を掛けてもらえるようになりました。あと、芸人さんとかにスタジオで『見てます』とか『うちの事務所の○○がお世話になりました』とか言われたり。全然仕事が変わりましたね」と、自らが思い描いていた以上の『プロ』になり驚いたという。

 将来の夢は、今以上に麻雀業界が発展することだ。「うちの団体だけが有名になっても仕方がない。どの団体でもいいから、愛されるプロが出てきてほしい。将棋や囲碁みたいに、定期的なツアーができて、いろいろな企業がスポンサーにつく大会なんかができるようになったらうれしいですね。年間のタイトル総なめして、将棋の羽生善治先生みたいに1億円稼げるような人が出てほしい」と語った。もちろん自分が最初の1億円プレイヤーになる意欲もある。「10年後くらいになれたらいいですね」。5月27日からは3連覇がかかる麻雀日本シリーズに出場する。「確率的に考えても難しいでしょう」と笑う多井だが、1億円プレイヤーを目指す彼であれば、達成する可能性は十分にある。

(C)AbemaTV

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