「こうやって生きていられることが幸せ」白血病を乗り越えた麻雀プロ・山口明大が開く「骨髄バンクチャリティ麻雀大会」

 麻雀と、そこで生まれた仲間たちに支えられて、難病を克服した人がいる。残暑厳しい8月26日、都内の大型麻雀店で「骨髄バンクチャリティ麻雀大会2018 in 東京」が開催された。会場には参加者、関係者含め約100人が詰めかけた。この大会を運営している中心人物が、プロ雀士・山口明大(42=日本プロ麻雀協会)だ。自ら白血病を患い、骨髄バンクからの提供を受けて骨髄移植を受けて社会復帰したことから、骨髄バンクの認知拡大を麻雀の力で広めようと、2005年から同大会を開催し、今回で15回目を数えた。「今こうやって生きていられることが幸せだということを、1年に1回考えてみようとやっていることです」と、楽しげに卓を囲む参加者たちの様子に目を細めた。

大会を運営する麻雀プロの山口明大


 山口が白血病を患ったのは2001年6月のこと。2年前の1999年に麻雀プロになり、2001年には公務員としての就職が決まったばかり。本格的に二足のわらじを履いて活躍しようという矢先だった。「僕の白血病は、骨髄移植をしないと治らない型でして。2002年の5月に骨髄バンクから移植を受けました」。入院時は無菌室で過ごす日々だった。「普段生きていたら、コンビニに行ったり、旅行に行ったり、仕事に行ったり。でも無菌室に入ったら嫁さんとけんかもできない。麻雀なんてもってのほかですから」と、今こうして日常生活を過ごし、麻雀大会を開けている喜びをしみじみと感じている。


 退院後、小林剛や石原真人(いずれも麻将連合)といったプロたちからの呼びかけもあり、快気祝いの麻雀大会を開こうという話になった。「ただするだけじゃおもしろくないから、他のスポーツみたいにチャリティーオークションとかやりたい」とアイデアが出ると、さらに自身の命をつないだ骨髄バンクについても触れたいと考えるようになった。「全国骨髄バンク推進連絡協議会に後援についてほしいとお話をしたら(当時会長の)大谷貴子さんから二つ返事でOKをいただいて。それで蒲田のニューロン麻雀スクールで、8卓32人でやったのが始まりです」と、第1回開催のいきさつを振り返った。

サポーターとして参加しているプロ女流雀士・二階堂留美


 麻雀業界でも珍しいチャリティー色を打ち出し、かつ骨髄バンクの認知拡大というテーマをもったイベントは、すぐに麻雀仲間の間で話題になった。すぐに参加を名乗り出たのが、人気女流雀士の1人、二階堂瑠美だ。「1回目をやったその年の冬に、二階堂さんとお会いする機会がありまして。イベントの説明をしたら『私も何か手伝いたい』と。2回目からサポーターとして、参加してくれています」と人気雀士が参加したことで、各地からも開催希望の声がかかり、東京以外でも大阪、徳島、群馬などでも開催した。当時は参加者も先着順だったが、今では過去の参加状況なども見ながら、調整が必要なほどの人気イベントになっている。


 大会の合間には、骨髄バンクについて大谷貴子さんによる特別講演もある。これまで計20人ほどがドナー登録し、今年は大会直前にプロの女流雀士2人が登録した。山口は「もちろん登録もうれしいのですが、何か感じたことをSNSで発信していただけるのが大事。毎回イベントが終わった後は、Twitterを見るのですが、9割以上は好意的な声をいただいています」と、しっかりとした手応えを感じている。

骨髄バンクの特別講演を行う大谷貴子さんと、過去に白血病を患った格闘家のノブ・ハヤシ


 麻雀プロが参加するイベントといえば、プロアマ問わず真剣に戦う「競技会」が大半で、このような社会貢献を前面に打ち出すイベントは珍しい。10月からは新たな麻雀プロリーグ「Mリーグ」もスタートし、これまで以上に麻雀プロに対する目は厳しくもなり、また役割も大きく変わってくる。「麻雀プロが有名になることで、情報発信ができるというのが一番大きい。誤った情報を持っている方に対して、正しい情報を伝えることが大切だと思っています。麻雀界も1人1人が意識を高めていかないと。業界、業界と言っても、1人1人がよくなれば、麻雀のイメージもよくなると思っています」。昨今、スポーツ界にも不祥事が数多く報じられる中、もともとダークなイメージを持っている人も多い麻雀においては、単に強いだけではなく「さすが麻雀プロ」と思われるような生き方が求められるようになる。


 今後の目標について聞かれた山口は「とりあえず回数とかは決めずに続けていきたいし、伝えていきたいですね。毎回、終わった後は参加者の方にあいさつするようにしていますが、その時にもみなさんの健康管理に関心を持ってくれたら、と思っています」と語った。山口は入院時、多数のプロたちから復帰を願った寄せ書きを贈られた。その思いに答えるために、来年もまた笑顔で参加者たちを出迎える。

(C)AbemaTV

▶9/1(土)15:00~ RTDリーグ 2018 SEMIFINAL 開幕戦

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