“神の山読み”トップ雀士たちが絶賛した勝又健志「44秒間の全思考」/麻雀・大和証券Mリーグ

 1枚ツモって1枚切る。麻雀の基本動作となる「模打(モウター)」を、プロ達は通常、わずか数秒というスピードで繰り返していく。ただ究極の選択に迫られると、少考もしくは長考に入る場合もある。

 プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」10月25日2回戦の南4局、EX風林火山・勝又健志(連盟)がまさに究極の選択に迫られたシーンがあった。“麻雀IQ220”と称される超頭脳派プロが44秒間の長考で何を想定し、決断に至ったのか。その全思考を聞いた。


 南4局オーラスの時点で、西家・勝又の持ち点は-4400点の4着と大苦戦。しかも親番の赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)から3巡目にリーチ攻撃を受けている状況下だ。 3着目だった村上の持ち点は9300点、勝又とは1万3700点差だった。トップ目は持ち点6万300点でU-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)、2着目は持ち点3万4800点で渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)。

 この局における勝又のテーマは「ラス回避」と「着順の並び」。この2点を思惑通りに達成するためには、村上への満貫直撃か跳満以上のツモアガリが求められていた。


 村上の河は南、西、西と西の対子落としからのリーチ。勝又は「両面や三面待ちといった“好形”か、手役がらみの“高打点”のどちらか」と推察し、これまで独自に積み上げてきた打牌研究パターンから「高打点よりも好形である可能性が高い」と予測。実際、村上は平和・ドラ1で2、5索待ち好形リーチだったのだが「村上さんが好形である以上、自分のアガリ率を少しでも高めておかないといけない」と考え、手牌を進行させた。


 さらに各選手の点数状況と総合ランキングを鑑みて「朝倉さんも多井さんもチャンス手じゃないと攻めては来ない」となれば「村上さんにとっては、連荘しやすい状況が生まれるので、通常の1局以上に連荘された後のリスクが大きい」とにらみ「村上さんのチャンスを潰しにいくのが今できることの最善」と結論づけた。


 リーチ攻撃に耐えながらも勝又に条件を満たしたテンパイが入る。索子の一気通貫を確定させた4、7筒待ちか。待ち牌枚数を優先する1、4、7索待ちかという二択。ドラは4索で、7索でアガった場合のみ、一気通貫が完成する。

 この日は総合ランキング上位4チームの激突だっただけに、裏目を引く猶予すら許されない究極の選択だ。「あの半荘に関しては、U-NEXT Piratesのトップは揺るがないと思っていたので、渋谷Abemasが2着でドリブンズが3着のほうがEX風林火山にとってはまだいい。赤坂ドリブンズ2着、渋谷Abemas3着というパターンが、EX風林火山にとっては最悪になってしまう」と総合3位だった赤坂ドリブンズにくらいつくためにも、すべての思惑を満たすべく、最終的に1、4、7索待ちでリーチを決断。置かれた状況でやるべきテーマを究極まで突き詰めたがゆえの44秒間だった。


 結果、7索を一発でツモって裏ドラも3枚乗せ、リーチ・一発・ツモ・一気通貫・ドラ4で倍満1万6000点という最高形に仕上げた。「逆転できたらラッキーぐらいで、この半荘をこれ以上マイナスしないで終わらせようという中で、たまたま結果がいいほうに出てくれた」というが、4位(▲30.0)から3位(▲10.0)に上がった順位点を加味すると+30.6、3万6000点分となる役満級の価値あるアガリだった。


 このアガリに大興奮し、これまで以上に尊敬の念を抱いたのが、チームメイトの二階堂亜樹(連盟)だ。アガリの瞬間、控え室で何度も飛び跳ねるシーンがSNSで公開され、話題になったが、この時の心境については「勝又プロが長考していたので、あの時に何を考えていたのかとか、あの瞬間はたぶんいろんな恐怖と戦っていたんだなとか思ったんです。そういうのがすごく伝わってきた」と語ると、「その中で選択をきちんと正解できたということに対して、ものすごく感動したんです。それが体に出たんでしょうね。あの瞬間だけ切り取ると本当にすごいことなので、あの境地にたどり着きたいな、うらやましいな、やっぱりすごいなという感じはありますね」と、言葉が次々と溢れてきた。

 11月12日現在、EX風林火山は総合3位。勝又はここまで8戦を戦い、4着無しといういぶし銀の打ち回しを見せている。だが実は、Mリーガー21人の中でトップを取っていない唯一の選手でもある。「早い段階でトップが欲しいなという気持ちはありますけど、最終的に優勝することが目標なので気にしていない」と先を見据え、初トップだけでなく初優勝に向け、闘志を燃やしている。【福山純生(雀聖アワー)】


◆勝又健志(かつまた・けんじ)1981年3月15日、東京都生まれ。B型。日本プロ麻雀連盟所属。主な獲得タイトルは第2回麻雀グランプリMAX、第32期鳳凰位。異名は「麻雀IQ220」。


◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。

(C)AbemaTV


▶【見逃し視聴】大和証券 Mリーグ 風林火山vs麻雀格闘倶楽部vs雷電vsPirates

続きを見る

0コメント

  • 1000 / 1000