まさに麻雀オブザイヤー“最高にして最強”近藤誠一「戦えること自体がすごく幸せ」

 麻雀オブザイヤー(MOY)という賞があるわけではないが、もしあれば2018年の受賞者は、やはり近藤誠一だっただろう。所属する最高位戦日本プロ麻雀協会では、8月に行われた「麻雀駅伝」で団体を優勝に導く立役者として活躍。個人としても団体最高峰のタイトル「最高位」で自身4度目となる獲得に成功した。さらに10月からは新たに誕生したプロ麻雀リーグ「Mリーグ」で、セガサミーフェニックスの1人としてファンを魅了し、年末12月には国内最大級のプロアマ大会・麻雀最強戦で優勝を果たした。まさに“最高にして最強”となったプロ22年目の近藤の胸にあるのは、勝利の喜びとともに、元気に麻雀に打ち込めることそのものへの感謝だった。

 今年は、なんだかやれる気がした。通算4度目の獲得となった最高位は、リーグ戦1位だった松本浩司が病に倒れ、4位だった近藤が繰り上げで出場となったものだった。「手放しで喜べるものではなかったんですけどね」と振り返りつつ、その実力をいかんなく発揮し優勝すると、麻雀最強戦ファイナルにシード権で出場を決めた。「なんでしょうね、今年は勝つ気がしましたね。たまにあるんですよ」。過去3度の最高位を持って臨んだファイナルでは惜しくも敗れたが、今年は何かが違ったという。「(ファイナルの)前日に最高位戦の納会がありまして。そこで乾杯の時にあいさつで『最高で最強になってきます!』と叫んだんですよ」と、優勝宣言をした。「自分で言うのもなんですけど、有言実行率が高いんです。割と自分を追い込むって言いますが、僕の場合は体の中から湧き上がってくるものがあって、それが噴き出して言葉になる感じ。ファイナルに出る前に、こういう言い方をしたのは、今回が初めてでした」と、何かしらいつもの自分とは違う何かを感じながら戦い、そして頂点に立った。

 個人としてだけでなく、団体としても優勝できたことが、とてもうれしかった。最高位戦日本プロ麻雀協会の代表選手でチームを組み、他団体やアマチュア連合と戦った「麻雀駅伝」では、後に誕生したプロ麻雀リーグ「Mリーグ」に6人中4人(近藤、村上、園田、朝倉)がドラフトで指名されるという、いわば「最高位戦ドリームチーム」で臨んだ戦いだった。「駅伝での優勝が、今年一番と言ってもいいくらいの出来事でしたね」と、個人で最高位、最強位になったことよりも、全員で戦い優勝したことを一番の誇りとした。その思いは10月に開幕したMリーグでも同じだ。魚谷侑未(連盟)、茅森早香(最高位戦)という2人の女流雀士とのチームワークもいい。現在はリーグ最下位にはいるものの、その差は小さく、十分にファイナルシリーズ進出の可能性を持っている。

 プロ雀士生活22年目にして「精神状態がいいというか、自然体だったんですかね」と語り、まさに最高のシーズンを送ったが、その心には大きく重いものがある。最高位決定戦を欠場した松本の他に、突然この世を去った団体の仲間、田中巌さんがいたからだ。4度目の最高位獲得の瞬間、本来であれば笑顔でトロフィーを掲げるところだが、今度はこみ上げるものを必死にこらえ、その中でなんとか言葉を選び、優勝インタビューに答えた。「改めて(麻雀で)戦えること自体が、すごく幸せなことなんだと、身に染みて感じましたね」。勝ちたくてもその前に戦えない人がいる。戦う前に生きられない人がいる。1人のプロ雀士としてだけでなく、1人の人間としての、これまでのプロ雀士生活の中では感じなかった何かを胸に抱えながら、その左手でしっかりと牌を握り、悩み、そして勝ち続けた。

 これまでのプロ麻雀界は、そのほとんどが自分自身のために戦うものだった。ただここ数年で団体やチームによる大きな対抗戦も増え「仲間」のために戦う、新たな醍醐味と重圧を感じる対局が増えた。「来年ですか。一番大きなのはMリーグですね。ファイナルシリーズに進出して優勝。それが一番大きなところでしょうね。個人でしたら今持っているタイトルの連覇。最高位は連覇すれば5回目で永世最高位にもなるので」と、目標を明かした。自分のために打ち続けて数々のタイトルを取ってきた男が、仲間のために打ち、さらに強くなった。来年56歳を迎える近藤の絶頂期は、まだこの先にあるのかもしれない。【聞き手・構成 小松正明】


(C)AbemaTV


▶1/2(水)19:00~ 新春オールスター麻雀大会2019

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